リフォーム工事の内容や規模にもよりますが、リフォームには数十万円~数百万円の費用がかかるのが一般的です。
リフォームといってもさまざまなリフォームがありますが、要件を満たすリフォームをすれば所得税の減税のように税の優遇措置を受けられます。
リフォーム減税の内容や条件を正しく理解して、税の優遇措置をうまく利用しましょう。
この記事を読めば・・・
- リフォーム減税がわかる。
- お得にリフォームできる。
是非、リフォームの参考にして頂けたらと思います。
目次
リフォーム控除(減税)とは?
リフォームローン控除(減税)とは、要件を満たすリフォームをしたときに所得税の控除(減税)を受けられる制度です。
所得税から控除しきれない場合は、住民税から控除されます。
住宅ローン控除(減税)とリフォーム促進税制の2つの制度をまとめ、一般的にリフォームローン控除(減税)と呼んでいます。
住宅ローン控除(減税)
住宅ローンを利用して住宅を購入をすると住宅ローン控除を受けられ、所得税が減税されることを知っている人は多いでしょう。
一般的には住宅ローン控除と呼ばれることが多いですが、正式名称は住宅借入金等特別控除です。
この住宅借入金等特別控除は、住宅の購入だけではなく住宅のリフォームにも適用されます。
12月22日、令和6年度住宅税制改正概要が公表され、新たに子育て対応リフォームが追加されました。
子育て世帯への支援強化の必要性や、現下の急激な住宅価格の上昇等の状況を踏まえ、本日閣議決定された令和6年度税制改正の大綱に住宅ローン減税の制度変更等が盛り込まれました。
返済期間が10年以上のローンを利用してリフォーム(または購入)代金の支払いに充てたときに、その年末時点のローン残高の一定割合が一定期間にわたり所得税から控除されるという基本的な仕組みはそのままです。
リフォームに限って説明すると、その年末時点のローン残高の0.7%(最大14万円)が最大10年間控除されます。
全期間を通すと控除金額は、最大140万円(14万円×10年)です。
控除を受けるためのおもな条件は、以下の通りです。
控除の条件
- 住宅の増改築等の日から6ヵ月以内に自ら居住すること
- 当控除を受ける年分の12月31日まで引き続き居住していること
- 増改築等をしたあとの住宅の床面積が50平方メートル以上であること
- 上記床面積の2分の1以上が自らの居住部分であること
- 増改築等にかかる自己負担費用が100万円を超えていること
- 当控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下であること など
リフォーム促進税制
リフォーム促進税制は、ローンを利用したかどうかに関係なく、2024年12月31日までに対象となるリフォームをした場合に一定額を所得税から控除できる制度です。
2022年度の税制改正によって2021年まであった特定増改築等住宅借入金等特別控除(通称「リフォームローン控除」)という制度と統合され、制度の名称も「投資型減税」から「リフォーム促進税制」に変わりました。
控除期間は、リフォーム工事を完了した日が属するその年のみです。
控除できる金額は、以下の2つの合計額となっています。
- 国土交通大臣がリフォームの内容別に定めた「標準的な工事費用相当額」の10%
- 「対象工事限度額を超える部分」と「その他のリフォーム工事費用から補助金等を差し引いた額」に対する5%
具体的には、以下のようなリフォームの種類で最大控除金額が異なります。
- 耐震、省エネ、三世代同居、子育て:最大25万円
- 長期優良住宅化:最大50万円
- バリアフリー:最大20万円
また、いくつかのリフォームを組み合わせることで最大控除額は上がります。
なお、リフォームに関する減税制度はこれまでに何度も改定されています。
実際にリフォームを検討する際には、必ず国税庁および国土交通省のサイトで詳細を確認するようにしてください。
参考①
国土交通省HP:令和6年度住宅税制改正概要
参考②
国土交通省HP:報道発表資料
リフォームローン控除(減税)の対象になる6つの工事内容と適用条件
次に、リフォームローン控除(減税)の対象となるリフォームの種類と工事内容別に各減税制度の対象可否と、適用条件を見ていきましょう。
対象工事
- 耐震リフォーム
- バリアフリーリフォーム
- 省エネリフォーム
- 同居対応リフォーム
- 長期優良住宅化リフォーム
- 子育て対応リフォーム
耐震リフォーム
現行の耐震基準に適合するように、耐震改修工事を行うものです。
住宅ローン控除(減税)および「リフォーム促進税制」のどちらも対象となります。
ただし住宅ローン控除(減税)を受けるためには、先に説明した床面積やリフォーム費用などの条件を満たすことが必要です。
耐震リフォームのリフォーム促進税制を受けるためには、以下の条件を満たす住宅等である必要があります。
- 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された住宅
- 自ら居住する住宅
参考
住宅リフォーム推進協議会HP:耐震リフォームの減税制度
バリアフリーリフォーム
高齢者や障がい者など家族全員が安全に暮らせるように、段差の解消や手すりの取り付け、滑りにくい床材料への取り替えなど、8種の一定工事を行なうものです。
住宅ローン控除(減税)および「リフォーム促進税制」のどちらも対象となります。
バリアフリーリフォームのリフォーム促進税制を受けるためには、おもに以下の条件を満たすことが必要です。
- リフォーム費用(標準的な工事費用相当額から補助金等を控除した額)が50万円超
- 床面積の2分の1以上が居住用かつ居住部分の工事費が改修工事全体の費用の2分の1以上
- 改修工事完了後6ヵ月以内に入居
- 改修工事後の床面積が50平方メートル以上 など
参考
住宅リフォーム推進協議会HP:バリアフリーリフォームの減税制度
省エネリフォーム
住宅の省エネ性能を上げるためのリフォームで、具体的には以下のような工事が対象です。
- 窓の断熱工事
- 床や天井、壁の断熱工事
- 太陽光発電設備設置工事
- 高効率空調機や高効率給湯器、太陽熱利用システムの設置工事
住宅ローン控除(減税)および「リフォーム促進税制」のどちらも対象です。
省エネリフォームでリフォーム促進税制を受けたい場合、「窓の断熱工事」は必ず行わなければなりません。
また、ほかにも以下のような条件が定められています。
- 自ら所有し、居住する住宅
- 省エネ改修部位がいずれも平成28年省エネ基準相当に適合する など
その他、バリアフリーリフォームの部分で記載したリフォーム費用や床面積、入居までの期間などの条件を満たすことも必要です。
参考
住宅リフォーム推進協議会HP:省エネリフォームの減税制度
同居対応リフォーム
親・子・孫の三世代が同居できるように、調理室、浴室、トイレ、玄関のいずれかを増設し、住宅環境の整備をするための工事です。
「住宅ローン控除(減税)」および「リフォーム促進税制」のどちらも対象となっています。
同居対応リフォームでリフォーム促進税制を受けるためには、おもに以下の条件を満たしていなければなりません。
- 自ら所有し、居住する住宅
- リフォーム後、その者の居住用の部分に上記4つのうち、いずれか2つ以上ある室が複数ある など
その他、バリアフリーリフォームの部分で記載したリフォーム費用や床面積、入居までの期間などの条件を満たすことも必要です。
参考
住宅リフォーム推進協議会HP:同居対応リフォームの減税制度
長期優良住宅化リフォーム
小屋裏の換気性を高めたり、土台の腐食・防蟻をしたりするなど、住宅の耐久性を向上させるために改修工事をするリフォームです。
具体的な工事の種類は、リフォームを行う住宅が木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造などのいずれかによって異なります。
「住宅ローン控除(減税)」および「リフォーム促進税制」のどちらも対象です。
ただし、長期優良住宅化リフォームでリフォーム促進税制を受けるためには、以下の条件があります。
- 一定の耐震改修または省エネ改修も併せて行なう
- 増改築により長期優良住宅の認定を受けている など
その他、バリアフリーリフォームの部分で記載したリフォーム費用や床面積、入居までの期間などの条件を満たすことも必要です。
参考
住宅リフォーム推進協議会HP:長期優良住宅化リフォームの減税制度
その他の増改築工事
ここまで紹介した5つのリフォームのほか、増築、改築、建築基準法に規定する大規模の修繕、または模様替えなどの工事をした場合は、住宅ローン控除(減税)の適用を受けられる可能性があります。
住宅ローン控除(減税)の適用を受けるためには、冒頭で説明したように、返済期間が10年以上のローンを利用してリフォーム(または購入)を行ったという条件を満たすほか、これらの工事をして「増改築等工事証明書」の交付を受けることが必要です。
リフォーム減税が適用される工事、および収入その他の要件は、国土交通省および財務省の告示や通達で詳細が定められています。
実際にリフォームを検討する際には、必ず国税庁および国土交通省のサイトで詳細を確認するようにしてください。
リフォーム工事による固定資産税の減税と贈与税の非課税措置
リフォームに関する優遇税制には、所得税以外にも固定資産税の減税や、リフォーム資金の贈与を受けたときに贈与税が非課税になる制度があります。
固定資産税の減税
先に紹介した6つのリフォーム工事のうち、耐震、バリアフリー、省エネ、長期優良住宅化の4つのリフォームに関しては、工事完了年における翌年度分(1年分のみ)の固定資産税の減税が受けられます。
以下の割合に相当する金額が固定資産税から減額されます。
耐震 | バリアフリー | 省エネ | 長期優良住宅化 | |
---|---|---|---|---|
軽減割合 | 家屋の固定資産税額の2分の1 | 家屋の固定資産税額の3分の1 | 家屋の固定資産税額の3分の1 | 家屋の固定資産税額の3分の2 |
軽減対象となる家屋面積 | 120平方メートル相当分まで | 100平方メートル相当分まで | 120平方メートル相当分まで | 120平方メートル相当分まで |
固定資産税は地方税です。固定資産税の減税を受けるためには、リフォーム工事完了後3ヵ月以内に物件がある市区町村で手続きをする必要があります。
贈与税の非課税措置
年間110万円までの贈与は、非課税です。
このほか、2023年12月31日までに両親および祖父母などの直系尊属から一定要件を満たすリフォームを行うための資金の贈与を受けた場合、以下の金額までの贈与に関して贈与税が非課税となります。
対象となるリフォーム | 最大非課税枠 |
---|---|
省エネ性、耐震性、バリアフリー性のいずれかが「質の高い住宅」基準に適合させるためのリフォーム | 1,000万円 |
その他のリフォーム | 500万円 |
※受贈年が2022年1月1日~2023年12月31日まで
なお、当非課税の適用を受けるためには、リフォーム費用が100万円以上などの条件があります。
参考
住宅リフォーム推進協議会HP:贈与税の非課税措置
リフォームローン控除(減税)の手続き方法
リフォームローン控除(減税)における手続き方法について解説します。
確定申告(年末調整)が必要
リフォームに関する所得税の減税を受けるためには、確定申告が必要です。
会社員のように本来確定申告の必要がない人も、初めて制度を利用するとき(1年目)には確定申告することになりますので押さえておきましょう。
確定申告は、リフォームをした翌年の2月16日~3月15日に行います。
確定申告に必要な書類をそろえ、納税地(原則として住所地)の所轄税務署長に提出しますが、提出方法には次の方法があります。
- e-Tax(電子申告)で申告(事前に利用開始のための手続き等が必要)
- 郵便または信書便により住所地の所轄税務署に送付
- 住所地の所轄税務署の受付に持参
なお、勤務先で年末調整がある人は2年目からは住宅(リフォーム)ローン控除に関する申告は年末調整で行えます。
その際、必要書類を勤務先に提出します。
確定申告(年末調整)するうえでの必要書類
確定申告で必要となる書類には次のものがあります。
リフォームの種類によって別途証明書が必要になりますので、リフォームの内容に合わせて国税庁や国土交通省のサイトで必ず確認するようにしてください。
- 確定申告書
- (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 住宅取得資金にかかる借入金の年末残高等証明書(2ヵ所以上から交付を受けている場合は、そのすべての証明書)
- 控除を受ける人の住民票の写し(マイナンバー(個人番号)が記載されていないもの)
- 給与所得者の場合は、給与所得の源泉徴収票
- 家屋の登記事項証明書、請負契約書の写し等(※)で、増改築をした年月日、金額、リフォームをした家屋の床面積および家屋のリフォームが特定取得に該当する場合にはその該当する事実を明らかにする書類
リフォームに関して、補助金の交付を受けている場合は、補助金の額を証する書類の写しの添付が必要です。
また住宅取得等資金贈与の特例の適用を受けている場合は、住宅取得等資金の額を証する書類の写しを添付しなければなりません。
なおリフォーム工事の内容によって、次の書類が必要になります。
- 工事にかかる建築確認済証の写し、検査済証の写しまたは増改築等工事証明書
- 工事にかかる増改築等工事証明書
作成方法
「確定申告書」および「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」は国税庁のサイトからダウンロードが可能です。
また、国税庁のサイトにある「確定申告書作成コーナー」から、画面に従って入力することにより、オンライン申告でそのまま送信したり、印刷して税務署へ持参・郵送したりすることも可能です。
その他、工事に関する証明書の様式は国土交通省のサイトから入手可能です。リフォーム業者にも確認を取るようにしましょう。
リフォームローンを組む前に、月々の支払いと控除される金額を知ろう!
リフォームをすることで、お得な減税制度を受けられるのはいいですが、ローンを利用する際には「返済しなければならない」ことを一番に考えて利用することが重要です。
金利や貸付条件など、選ぶローンによって返済総額に差が出てきますから、できるだけ返済総額が少なくなるようなローンを検討しましょう。
返済額シミュレーション
リフォームの種類にもよりますが、ローンを利用して減税制度を受けるためには10年もしくは5年以上のローンでなければいけません。
長期にわたって無理なく返済できるよう、何度もシミュレーションを繰り返し、最適な返済計画を立てるようにしましょう。