太陽光・蓄電池リフォーム

V2Hとは?基礎知識と導入のメリット・費用を紹介



電気自動車(EV)の普及を肌で感じるようになってきた昨今、それを有効活用する手段としてV2Hの注目度が高まっています。

名前は聞いたことがあるけど、どんなものかは知らない。

電気自動車(EV)に買い替えるのでV2Hのこと、EV充電設備との違いが知りたい。

本記事では「V2Hとは何か?」をはじめ、仕組みや機器に関する基礎知識、導入した際のメリットなどを紹介します。

 

この記事を読めば・・・

  • V2Hについてわかる。
  • V2Hと家庭用蓄電池の違いがわかる。
  • V2Hの費用がわかる。

 

電気自動車の購入を検討している方、太陽光発電導入後10年を迎える方は、是非参考にして頂けたらと思います。

 



V2Hとは?

V2Hとは「Vehicle to Home」の略称です。

直訳すると「クルマから家へ」という意味です。

電気自動車(以下:EV)やプラグインハイブリッド車(以下:PHEV)のバッテリーに貯めている電力を、自宅で使えるようにする機器をV2Hといいます。

V2Hを導入するとEVやPHEVを、住宅用蓄電池として活用することができます。

通常、EV充電設備とは家庭用の電力をEVへと給電する機器のことで、EVの電力を自宅に送り込むことはできません。

V2HはEVの電力を自宅に給電できるようにすることで、蓄電池の役割=災害時の備えを可能にしました。

近年のEVは航続距離が500~600kmまで伸びるほどに、バッテリーの大容量化が進んでいます。

この高機能も走行していない時間は宝の持ち腐れです。

そこで、V2HがあればEVの電力エネルギーを効率よく使えるようになります。


(出典:Panasonic HP)

品名 V2Hスタンド(6.0kW) 2023年2月21日受注開始
品番 NEWLJV1671B
外形図 V2Hスタンド(6.0kW)
設置場所 屋外
充放電コネクタケーブル長
(コネクタは除く)
約7.3m
外形寸法
(W×H×D)
W420×H1,250×D210mm(突起部除く)
質量 約55kg(充放電ケーブル含む)
使用温度範囲 -20℃~50℃
希望
小売価格
1,760,000円(税抜1,600,000円)



V2Hの特徴と家庭用蓄電池・EV充電設備との違い

上記ではV2Hについて説明しましたが、では具体的にどんな特徴を有しているのでしょうか。

ここでは、V2Hの特徴と家庭用蓄電池やEV充電設備との違いについて紹介します。

 

V2Hシステムの特徴

V2Hの特徴はEV充電設備の機能に加え、電気自動車(EV)を蓄電池として利用できる機能を備えている点です。

家庭用蓄電池とEV充電設備をそれぞれ設置すると、2つの機器の費用がかかる上、工事の時間と費用がかさみます。

しかしV2Hなら機器が1つで済み、導入費用が抑えられます。

V2Hには太陽光蓄電池連系タイプと単機能タイプの2つがあります。

太陽光蓄電池連系タイプには家庭用、太陽光発電、EVの電力をより効率的に使うための制御機能があります。

家庭での電力の使い方などの情報を記録し、EVの充放電量や太陽光発電の電力の消費・売電・充電を自動的に最適化してくれます。

 

EV充電設備との違い

V2HシステムとEV充電設備との違いは、バッテリーの電力を家で使えるかどうかです。

どちらもEVの充電ができますが、EV充電設備はV2Hのようにバッテリーの電力を家へ給電することができません。

 

家庭用蓄電池との違い

V2Hと家庭用蓄電池との違いは、EVに直接充電ができるかどうかです。

どちらも貯まっている電力を家で使えますが、家庭用蓄電池は定置型のため、家庭内にしか電力は供給できませんが、EVは移動先でも電気の使用が可能です。

V2Hと家庭用蓄電池のもう1つの違いはバッテリーの容量です。

家庭用蓄電池は5〜10kWhほどの容量ですが、V2Hはバッテリーが20~70kWhの容量になっています。

 

太陽光発電と連携できる

V2Hは太陽光発電と連携が可能です。

両方セットで使用すると、より効率的に電力を使えるようになります。

例えば、太陽光発電の電力を活用し、EVを充電することができます。

また家で使いきれなかった太陽光発電の電力を、V2H経由でEVに貯めておくことも可能です。


(出典:Panasonic HP)

 

V2Hには2タイプある

V2Hには、太陽光蓄電池連系タイプと単機能タイプの2種類があります。

主な違いはEVから家へと給電する際に、系統や太陽光発電の電力が家で同時に使えるかどうかです。

 

太陽光蓄電池連系タイプ

太陽光蓄電池連系タイプでは、太陽電池、蓄電池、EVが連携します。

太陽光発電に余剰電力がある場合、EV、蓄電池に充電、さらに余った電力は売電します。

太陽光発電からの電気は、パワコン→V2H→EVと交流に変換されることなく直流のまま使用できるので、変換ロスが少ないのも特徴です。

昼間にEVがない場合でも、昼間、蓄電池に貯めた電力を放電することでEVを充電できます。

 

単機能タイプ

単機能タイプは、EVと家庭内を繋ぎます。

太陽光発電と連系できるものもありますが、太陽光で発電した直流の電気を一度パワコンで交流 に変換してからV2Hで直流に変換し、EVに充電するため太陽光蓄電池連系タイプより変換ロスが多く発生します。

太陽光発電の電力を最大限有効活用するのであれば、太陽光蓄電池連系タイプがおすすめです。



V2Hシステムを導入する3つのメリット

V2Hを導入すると、災害時の備えや経済的なメリットがあります。

ここでは、V2H導入時の3つのメリットを紹介します。

 

1.災害·停電時のトラブル回避

V2Hがあれば、EVを災害停電時の非常電源として活用することができます。

また近年は、平常時も電力逼迫による計画停電を各電力会社が実施することも想定されます。

EVのバッテリーは、家庭用蓄電池より蓄電容量が大きく、EVの車種や電力の使い方にもよりますが、停電しても数日間電力を使用することが可能です。

太陽光蓄電池連系タイプなら太陽光発電も活用できるので、日中に発電した電力を貯められるため、より安心感が高まります。


(出典:Panasonic HP)

 

2.電気代の節約

EVを家庭用蓄電池として使えるV2Hは、夜間の安い深夜電力を充電し、昼間に放電できるので電気代の削減効果が期待できます。

ここ数年、電気料金は値上がりを続けているので、V2Hに注目が集まっています。

また太陽光蓄電池連系タイプのV2Hは、太陽光発電を組み合わせると電気代の節約効果がより向上します。

日中に使い切れなかった太陽光発電の電力を電気自動車EVに充電することができます。

さらに太陽光発電が発電できない時間帯、曇りや雨の日にEVに貯めた電力を使うという選択肢が増えます。

このようにV2Hと太陽光発電の相性のよさを認識できれば電力を有効活用し、電力購入量を減らすことで電気代の節約につながります。

以前は売電一択だった太陽光発電も、売電単価の下落や電力料金が値上がりで、今は使い切る方が経済的に賢い選択肢になってきています。

 

3.充電スピード

V2HのメリットはEV充電設備の普通充電器より充電スピードが速く、短い充電時間でEVを充電できる点です。

V2Hは出力6kWと200V普通充電器3kWの2倍あるので、充電時間がおよそ半分で済みます。

普通充電器で16時間かかる充電が、V2Hなら8時間に短縮される計算です。

(出典:Panasonic HP)



導入前に知っておきたい機器のこと

まずV2Hを導入する前に、知っておいたほうが良い注意点があります。

実際に購入してしまった後、契約してしまった後に「遅かった…」と後悔しないようにしましょう。

 

V2H機器

V2Hはメーカーやモデルによって性能や価格が異なります。

太陽光蓄電池連系タイプと単機能タイプだけでなく、電力を家全体で使える全負荷と指定エリアのみ使える特定負荷も選択肢の1つです。

またアプリが用意されているV2Hは、EVへの充放電時間の設定や稼働状況の確認をスマートフォンで操作することができます。

費用については機器の価格だけでなく、設置施工費用も踏まえたトータルコストを把握しておく必要があります。

2〜3社から見積をとり、比較するのがオススメです。

 

V2H対応車種

V2HはすべてのEVやPHEVに対応しているわけではありませんので、事前にV2H対応車種であるかどうかを確認することが必要不可欠です。

対応車種かどうかは各メーカーがホームページに公開しています。

EVやPHEVとセットでV2Hの購入を検討されている場合は、事前にチェックしましょう。

 

充電口の違い

EVやPHEVには充電口が2つあり、V2H・急速充電器と普通充電器では差し込む充電口が異なります。

普通充電器は普通充電口に差し込みますが、V2Hは急速充電口を使います。

間違って普通充電口に差し込むと、故障などトラブルの原因になりかねないので注意しましょう。

(出典:Panasonic HP)

 

すでに太陽光発電システムを設置している場合のパワコンについて

すでに太陽光発電システムを設置している自宅にV2Hを増設する場合、太陽光発電のパワーコンディショナを取り替えるのか、そのまま残して使うのかを検討しなければなりません。(パワーコンディショナとは太陽光発電の直流電気を交流電気に変換する機器のことです。)

太陽光蓄電池連系タイプのV2Hであれば、既設の太陽光発電パワーコンディショナを取り外し、V2H対応のパワーコンディショナに取り替えが必要になります。

取り替えることで太陽光発電の電力、EV、系統電源を連携させ、自宅の電力を総合的にコントロールします。

単機能タイプのV2H場合、既設のパワーコンディショナはそのまま利用し、V2Hの増設が可能になりますが太陽光発電と連携することはできません。

 

設置場所について

V2Hの設置場所については、EVとの位置関係や設置スペースを考えて決めることが重要です。

ケーブルの長さやEVの充電口の位置によってはケーブルの取り回しに苦慮したり、通行の邪魔になったりしかねません。

また設置スペースが十分でないとV2Hのメンテナンスができないケースも発生します。

V2Hの設置場所を安易に決めて後悔しないように注意しましょう。

 

機器の保証年数について

V2Hの保証年数はメーカーやモデルによって異なるため、注意が必要です。

初期不良や機器の不具合があった場合、メーカーが調査、修理・交換などの対応をとるので保証年数が長いに越したことはありません。

主要なメーカーのV2Hの機器保証の年数は短くて5年、一般的には10~15年となっています。

EVと一緒に長く付き合う機器になりますので、保証年数はV2H選びの必要項目に含めることをおすすめします。



V2Hシステム導入時に必要な工事と初期費用

V2Hの導入にあたり、工事や初期費用が必要になるので事前に把握しておく必要があります。

このテーマでは、V2Hの工事や初期費用、メーカー保証など導入時のポイントを3つ紹介します。

 

初期費用の用意

V2H導入時に気になるのは、やはり初期費用です。

メーカーやモデルにもよりますが、V2Hの機器費用だけで100〜200万ほどかかります。

工事費も含めると、200〜300万ぐらいはかかるでしょう。

電気代の節約などランニングコストを削減できるメリットがあるとはいえ、初期費用の負担はできる限り抑えたいところです。

補助金がある場合もあるので、随時チェックしましょう。

 

工事期間

V2Hの工事期間ですが、数日ほどです。

工事はシンプルで、簡易基礎を設置した後にV2H本体の設置を行い、配線工事、動作確認をして完了です。

ただし、事前準備には時間がかかる点は理解しておきましょう。

具体的には、施工会社の現地調査から契約の取り交わし、補助金や電力会社への申請などが挙げられます。

現地調査ではV2Hの機器の設置場所や、配線の取り回しなどを確認した上で、設置可能かを判断します。

その上で、施工会社からの見積内容に納得できれば契約となり、補助金・電力会社への申請、そして実際の工事へと進みます。

 



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