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長期優良住宅とは?



 

品格法の制定を受け、長期優良住宅の普及の促進に関する法律が、2009年6月に施行されました。

この法律は、良質な住宅ストックを増やし、豊かでやさしい暮らしへの転換を図ることが目的です。

簡単に言うと、環境に配慮した良質な住宅を、後世に残そうということです。

 

この記事を読めば・・・

  • 長期優良住宅についてわかる。
  • どんな税制優遇を受けられるかがわかる。
  • 長期優良住宅の認定手続きの流れがわかる。

 

是非、リフォームの参考にして頂けたらと思います。

 



長期優良住宅とは?

長期優良住宅とは、10の性能項目をクリアした、長く住み続けられる良質な住宅を意味します。

長期優良住宅は、新築または既存住宅の増築や改築を対象とし、令和4年時点で累計147万戸以上が認定を受けています。

 

長期優良住宅のおおまかな認定基準は、以下のとおりです。

長期優良住宅の認定基準概要

  • 長期に使用するための構造および設備がある。
  • 居住環境などへの配慮が行われている。
  • 一定面積以上の住戸面積がある。
  • 自然災害への配慮が講じられている。
  • 維持保全の期間、方法を定めている。

 

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具体的な認定基準について、次の章で詳しく見ていきましょう!

 

長期優良住宅の認定を受けるための10の性能項目

 

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認定を受けるためには、10の性能項目をクリアする必要があります。

 

性能項目等 概要
1.劣化対策 数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること。
→構造躯体が、少なくとも100年程度使用継続するための措置が講じられている。
2.耐震性 極めてまれに発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること。
3.維持管理・更新の容易性 構造躯体に比べて耐用年数が短い内装・設備の維持管理がしやすいこと。
→給排水管などの清掃・点検・補修・更新がしやすい。
4.可変性 ライフスタイルの変化に応じて、間取りの変更がしやすいこと。
→天井高(スラブ間)が高く(設備配管の変更などを伴う)間取り変更がしやすい。
5.バリアフリー性 将来のバリアフリー改修に対応できるようこと。
→共用の廊下・階段・エレベーターのスペースが広くバリアフリーに対応できる。
6.省エネルギー性 必要な断熱性能などの省エネ性能が確保されていること
→省エネルギー判断基準(平成11年相当)に適合する。
7.居住環境 地域の良好な景観形成に配慮されていること。
→地域の街並みに調和する。
8.住戸面積 良好な居住水準を確保するために必要な規模があること。
→戸建ては75平米以上、共同住宅は55平米以上
少なくとも1つの階は40平米以上(階段部分を除く)
9.維持保全計画 将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること。
→①構造耐力上主要な部分、②雨水の侵入を防止する部分及び、③給水・排水設備について、点検の時期・内容を定める。
10.災害配慮 自然災害による被害の発生の防止又は軽減に配慮されたものであること。
災害発生のリスクのある地域においては、そのリスクの高さに応じて、所管行政庁が定めた装置を講じる。
※申請先の所管行政庁に確認が必要。

 

長期優良住宅の5つのメリット

長期優良住宅のメリットとして、税金控除や低金利の住宅ローンに加入できること、保険料減額や補助金適用などについて解説します。

 

1.長期にわたり安全で快適な暮らしができる

上記でも述べたように、長期優良住宅は、数世代にわたって長く住み続けられる良質な住宅を意味します。

劣化対策・バリアフリー対策・災害対策が講じられていることや、高い耐震性能や省エネルギー性能を持ち合わせています。

また長期優良住宅は、資産価値が落ちにくく、売却する際も一般住宅に比べると高値が付きやすいです。

 

2.税の優遇措置がある

2023年12月31日までに長期優良住宅に入居すると、所得税の減税措置を受けられます。

住宅ローン減税
  • 控除対象限度額5,000万円(3,000万円からの引上げ)
  • 控除率0.7%、控除期間最大13年、最大控除額455万円
投資型減税
  • 標準的な性能強化費用相当額(上限650万円)の10%を所得税額から控除

※ 住宅ローン減税と投資型減税の併用はできません。

 

2024年3月31日までに長期優良住宅を新築した場合の税の特例措置は、次のとおりです

登録免許税 税率の引下げ
  • 保存登記 0.1%(本来0.15%)
  • 移転登記 戸建て0.2%
  • マンション 0.1%(本来0.3%)
固定資産税 減税措置(1/2減額)の適用期間の延長
  • 戸建て5年間(一般住宅3年間)
  • マンション7年間(一般住宅5年間)
不動産取得税 課税標準からの控除額の増額
  • 控除額1,300万円(本来1,200万円)
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たとえば住宅の評価額が5,000万円のとき、一般の保存登記にかかる登録免許税は5,000万円×0.15%=7万5,000円です。

一方、長期優良住宅は5,000万円×0.1%=5万円です。

 

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固定資産税評価額が同じ3,000万円として、不動産取得税を計算してみます。

一般住宅では「不動産取得税=(固定資産税評価額-1,200万円)×3%=(3,000-1,200)×3%=54万円」です。

一方、長期優良住宅の場合、「不動産取得税=(固定資産税評価額-1,300万円)×3%=(3,000-1,300)×3%=51万円」となります。

 

3.住宅ローンの金利が優遇される

長期優良住宅の取得による住宅ローンの特例措置には、以下の2つがあります。

フラット35S(金利Aプラン)および
維持保全型
  • 当初5年間:年0.5%引下げ
  • 6年目~10年目:年0.25%引下げ
フラット50
  • 長期優良住宅を取得する場合に利用可能
  • 最長50年の全期間固定金利ローン
  • 住宅ローン付きで売却可能
  • 住宅売却の際、購入者へ金利を引継ぎ可能

長期固定金利の住宅ローン「フラット35」を組む場合、住宅ローンの金利が優遇されるのも長期優良住宅のメリットです。

また、フラット35の加入者が利用できる「フラット35S」が適用できれば、さらに借入金利を下げられます。

フラット35Sでは、金利が引き下げられる期間が決められており、Aプランでは10年間、Bプランが5年間となります。

また、住宅ローンの返済期間が50年で、売却時に購入者にローンを引き継げる「フラット50」などの好条件なローンも組めます。

 

4.地震保険料の割引が受けられる

耐震等級割引き、または免震建築物割引きのどれかに該当する場合、地震保険料の割引きを受けられます。

耐震等級割引き
  • 耐震等級2:30%割引き
  • 耐震等級3:50%割引き
免震建築物割引き
  • 50%割引き

 

5.地域型住宅グリーン化事業の補助金を受けられる場合がある

長期優良住宅を建てると、地域型住宅グリーン化事業の「長寿命化」に関わる補助金として、最大150万円を受け取れる可能性があります。

補助を受ける条件は、国土交通省の採択を受けた中小工務店で木造住宅を建築することです。

建築に地元の木材を利用すると、さらに加算金が出る場合もあります。



長期優良住宅のデメリット

長期優良住宅の認定を受けるために時間・手数料がかかる

長期優良住宅の申請は、着工前に行わなければなりません。

申請の手続きは、所定の手順を踏む必要があるため、時間がかかる点に注意が必要です。

また、申請では申請先の所管行政庁や状況によって異なる手数料が発生します。

 

一般住宅より建設費が高くなる可能性がある

長期優良住宅の認定を受けるためには、高い耐震性能や省エネルギー性能の充実、劣化対策などが必要です。

長期優良住宅に適した設計や、良品質な材料の使用などが理由となり、一般住宅に比べ建設費が高くなる可能性があるのです。

 

入居後も定期点検・メンテナンスが必要

長期優良住宅の工事が完了し、入居後も認定を受け続けるためには、維持保全計画に従った定期点検やメンテナンスが必要です。

維持保全計画による定期点検では、住宅の維持保全が必要な期間は30年以上、点検時期の間隔は10年以内などと定められています。

住宅の維持保全を怠る、改善命令に違反するなどした場合は、長期優良住宅の認定の取り消しや、補助金や優遇を受けていた税金の返還を求められることがあります。

 

長期優良住宅の認定手続きの流れ

長期優良住宅の認定手続きは、建築主や分業事業者などが申請者となり、工事着工前に行います。

ここからは、長期優良住宅の認定手続きの流れについて見ていきましょう。

 

1.登録住宅性能評価機関の技術的審査を受ける

建築予定の住宅が長期優良住宅の認定基準を満たしていることを確認するため、登録住宅性能評価機関の技術的審査を受けます。

登録住宅性能評価機関に対し、確認申請書または設計住宅性能評価申請書、添付図書(設計内容説明書、各種図面、計算書など)の提出が必要です。

 

2.登録住宅性能評価機関から確認書等の交付を受ける

登録住宅性能評価機関の技術的審査で、長期優良住宅の基準を満たしていると判断されると、確認書等(確認書または住宅性能評価書(長期使用構造等であることの確認結果が記載されたもの)が交付されます。

 

3.所管行政庁の適合審査を受ける

所管行政庁に認定申請書と添付図書(確認書等、各種図面、所管行政庁が必要と認める図書)を提出し、適合審査を受けます。

 

4.所管行政庁から認定通知書の交付を受ける

所管行政庁の適合審査に通過し、認定通知書が交付されることにより、長期優良住宅の着工が開始されます。

長期優良住宅の申請を着工前に行っていれば、所管行政庁から認定通知書の交付を受ける前に着工したとしても、着工後に認定を受けることが可能です。



まとめ

長期優良住宅は、一般住宅よりも建築費が高く、入居後のメンテナンスに手間がかかるなど、費用対効果が得られずに後悔する場合があります。

そのため長期優良住宅の認定を受ける場合は、将来の生活も見据えて十分に考慮したうえで決定しなければなりません。

また認定を受ける場合は、実績のある工務店や住宅会社を選ぶ必要があります。

実績があれば、建築における技術力の高さや、長期優良住宅の手続きについて色々アドバイスしてくれます。



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