最近ニュースなどでもよく話題に上がる老後資金について、不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
そんな中、注目を集めているのが、リバースモーゲージです。
自宅に住み続けながら、その自宅を担保に老後資金を借りることができるという商品です。
老後生活をさらに豊かにしたいという方にオススメで、担保となる住宅があるなら長い老後生活を送るための資金源として検討するのも一つです。
また自宅の老朽化や相続などの問題により、高齢になってからの住み替えやリフォームを検討している人もいらっしゃると思います。
その場合、リバースモーゲージ型住宅ローンという選択があります。
ここではそれぞれの仕組みについてご説明します。
メリットだけでなくデメリットもあるため、しっかりと理解したうえで検討してみてください。
この記事を読めば・・・
- リバースモーゲージ型住宅ローンについてわかる。
- 老後生活が快適になる。
是非、リフォームの参考にして頂けたらと思います。
目次
リバースモーゲージ型住宅ローンとは?
リバースモーゲージ型住宅ローンとは、社会福祉協議会や住宅金融支援機構のリバースモーゲージの仕組みをベースとしながら、借入条件や使い勝手の面でより幅を広げたものです。
社会福祉協議会が取扱うリバースモーゲージは、その住居に住む人全員が原則65歳以上であることが条件の一つです。
一方、金融機関にもよりますが、リバースモーゲージ型住宅ローンは、一般的に55歳あるいは60歳以上の人を対象にしています。
また金融機関のリバースモーゲージは、使途の面でも幅広い用途に対応しているのが特徴です。
老後の生活資金はもちろん、住みかえ資金としても利用できるため、セカンドライフを考えるうえで使い勝手がよいでしょう。
例えば、子どもが巣立ち、シニア夫婦2人だけになったあとの家は広すぎるため、もう少し狭いマンションに住みかえをしたいということにも利用できます。
ほかには、子どもはマイホームを購入しているので、自宅を継ぐものがいない。自分が死んだあとの家はどう処分すれば良いかわからないといった場合も活用可能です。
このように住宅ローンの一面もありながら、生存中は利息だけを毎月返済し、死亡したあとに元金を返済するリバースモーゲージのメリットをあわせ持つのが特徴です。
リバースモーゲージ型住宅ローンには、リコース型とノンリコース型の2種があります。
リコース型は、モーゲージローンの残債を相続人が負担しなければならないタイプとなり、一方ノンリコース型は、相続人がモーゲージローンの残債を返済する必要がないタイプです。
そのため一般的にノンリコース型のほうが金利は高めです。
生存中の利息負担は、ノンリコース型のほうがリコース型よりも高くなる傾向がありますが、相続人のことを考えるとノンリコース型は選択肢の一つといえます。
リバースモーゲージ型住宅ローンのメリット
リバースモーゲージ型住宅ローンの利用を検討する前には、メリットとデメリットをきちんと確認しておくことが大切です。
リバースモーゲージ型住宅ローンのおもなメリットには、次のようなものがあります。
老後の生活にゆとりが生まれる。
リバースモーゲージ型住宅ローンを利用すれば、死亡時に自宅を売却して借入金を清算するだけで良いため、老後の生活にもゆとりが生まれやすくなります。
住宅ローンの一面もありながら、生存中は利息だけを毎月返済し、死亡したあとに元金を返済するリバースモーゲージのメリットをあわせ持っています。
リバースモーゲージ型住宅ローンのデメリット
リバースモーゲージ型住宅ローンの利用を検討する前には、メリットとデメリットをきちんと確認しておくことが大切です。
リバースモーゲージ型住宅ローンのおもなデメリットには、次のようなものがあります。
相続人の負担が増えるかも。
担保となる物件の価値が下がれば、自宅を売却しても返済しきれない可能性があり、その場合は相続人が残りの債務を返済しなければなりません。
リバースモーゲージ型住宅ローンの6つの注意点
リバースモーゲージ型住宅ローンでは、以下の6つの注意点についても押さえておきましょう。
6つの注意点
- 利用できる物件のエリアに制限がある場合が多い。
- 変動金利のため月々の利息返済額が変わりやすい。
- 団体信用生命保険に加入できない。
- 担保となる不動産価値の動向によっては途中での返済が必要になる可能性がある。
- 存命中に契約期限を迎えて、元金と利息を一括で返済しなければならないケースがある。
- マンションはリバースモーゲージに適用できる可能性が低い。
上記に挙げた注意点の中でも特に気を付けたいのが、途中で返済が必要になるかもしれないというリスクです。
金融機関にもよりますが、多くの場合、貸付限度額は担保評価額の50~60%と低めに設定されており、数年ごとに評価の見直しが行われます。
それにあわせて貸付限度額の見直しも行われますが、このとき万が一、それまでの借入額が貸付限度額を上回ることになれば、上回った分あるいは残高すべての返済が必要です。
こういったリスクを最小限に抑えるためには、あらかじめ限度額上限まで借入れしないよう注意しましょう。
また、存命中に元金と利息を一括で返済するケースがある点にも、気を付けましょう。
リバースモーゲージ型住宅ローンには、長期返済のリスクを抑えるために、契約期限が設けられたローンもあるためです。
本来リバースモーゲージ型住宅ローンは、契約者が亡くなったあとに不動産の売却代金で元金を返済する仕組みです。
しかし契約期限が設けられていると、契約者の生存中に元金と利息を一括で返済しなければならない可能性があります。
そのようなリスクを回避するには、契約終了日が契約者が亡くなった日に設定されているローンを選ぶと、生存中に一括返済せずに済みます。
さらにマンションはリバースモーゲージに適用しづらいことにも注意しましょう。
というのもリバースモーゲージ型住宅ローンで担保されるのは、土地の評価額がメインとなるためです。
マンションのように、部屋ごとに所有者が異なる区分所有建物の場合は、そもそも所有者ごとの土地の持分が少なくなります。
さらに建物に対する所有権と土地に対する持分所有権を別々に処分できないため、リバースモーゲージを適用しづらいのです。
リバースモーゲージ型住宅ローンはこんな人におすすめ
老後資金に不安がある人だけでなく、自分が希望する老後生活を過ごしたいという人にリバースモーゲージ型住宅ローンはオススメです。
特に次のような方は、リバースモーゲージ型住宅ローンの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
老後の資金に不安がある人
資産価値の高い自宅があり、住むところには困らない一方で、預貯金が少なく老後に使えるお金に不安があるという人もいるかもしれません。
例えば、社会福祉協議会のリバースモーゲージは、世帯員の収入が市区町村民税の非課税世帯程度の低所得であることが条件で、利用できない人も多いようです。
そのため、自宅に住み続けながら生活資金を増やしたい、老後資金が不安だという人にはリバースモーゲージ型住宅ローンが向いています。
老後の資金はあるが、いざというときのためにとっておきたい人
老後資金は準備できているけれども、いざというときに備えて余裕資金を持っておきたいという人もいるでしょう。
「旅行など余暇を楽しみたい」「病気や介護が必要になるときのために資金を確保しておきたい」など理由はさまざまです。
リバースモーゲージ型住宅ローンを利用することで、老後資金の減少を抑えることができます。
相続人がいない、自宅を残さず生活を充実させたい人
相続人がいない人や自宅を残す必要がない人は、リバースモーゲージ型住宅ローンを利用して、リタイア生活の充実を重視してもよいでしょう。
ただし、1人でも子どもがいる場合は、リバースモーゲージを利用する前に必ず同意を得るようにしてください。
なぜなら、リバースモーゲージ型住宅ローンを利用すると、債務者の死後は自宅などの売却で一括返済する必要があるためです。
仮に子どもが同居している場合、居住物件を失ってしまうおそれがあります。
住宅ローンの残債の返済が辛い人
前述したように、リバースモーゲージ型住宅ローンは住宅ローンからの借換えも可能です。
特に、定年退職後にも住宅ローンが残る人や退職金で一括返済を考えている人は、借換えることで月の返済額を減らしたり、退職金を老後資金として確保できます。
なお、申込み対象年齢が50歳以上などに設定されているリバースモーゲージ型住宅ローンを選べば、その分、家計の見直しに早い段階で取りかかれます。
このように、住宅ローンから借換えることで、老後生活の支出減少分を生活費の補てんや余暇などに充てられるのです。
最終的に老人ホームなどで暮らすことを考えている人
子どもが遠くに離れているなどの理由で、自宅で暮らすよりも世話をしてくれる人がいる老人ホームで暮らしたいという人もいるかもしれません。
しかし、一般的に老人ホームの入居費用は高めです。リバースモーゲージ型住宅ローンを利用すれば、まとまった資金を入居費用の一時金に充てることもできます。
また、入居のために自宅を売る人もいますが、年に何度かは家族が集まれるよう自宅は残しておきたいと考える人もいるのではないでしょうか。
他にもさまざまな理由がありますが、「自分の生存中は自宅を手放したくない」「ゆくゆくは老人ホームで暮らそうと考えている」という人には適しているでしょう。
できるだけ長く、生き生きとした老後を過ごせるのが理想ですが、少子高齢化の社会の状況を踏まえると、長生きが資金面でリスクとなり得ることも懸念されています。
リバースモーゲージ型住宅ローンの仕組みやメリット・デメリットをしっかりと把握したうえで、充実した老後の生活のために賢い活用を検討してみてはいかがでしょうか。